ふだん着の温泉「熊本・満願寺(まんがんじ)温泉」
満願寺温泉は杖立川の上流にあたる志津川(満願寺川)の畔に湧く静かな湯治場です。
川の中に造られた共同温泉場には、「洗い場」と「露天風呂」があり、上の写真のように、
地元の人たちが洗濯をしたり、洗いものをする、昔懐かしい風景が今も残っています。
この日の洗いものは、お二人とも子供やお孫の靴で、何度覗いても光景が変わらず、
その奥に見える二階建ての明るい建物「温泉館」の内風呂で我慢をしました。
【温泉は地元の人の大きな家族風呂】
どうやら、川沿いのいたるところに温泉が湧いているようで、川底を少し掘るだけで、
自分専用の温泉に浸かることができるようですが、こんなご立派な湯船があれば、
そんな必要はなさそうです。
前回、この湯船に浸かっていると、「かわせみ」が通り過ぎ、川魚が群れて泳ぎ、
バイカモの緑に白い花が揺らぎ、別世界の心境にこころが踊りました。
ここは、いつもの時間にいつもの顔が集まる、集落の人々の家族風呂のようです。
【静かな湯治場に伝わる歴史と文化】
温泉の入口には、鎌倉時代の文久11年(1274年)の元寇に際し、国土安泰祈願の
ため創立した満願寺がありますが、鎮西奉行北条時定、弟定宗、嫡子隋時(ゆきとき)
のお墓があります。
また、九州最古の庭園と言われる満願寺庭園があり、その中央部にある心字の池
は、室町時代の初期に造られたものです。
裏山には、樹齢1000年と言われる、幹回りが12.2m、高さ28mの金毘羅杉が、
ご立派な姿で聳えておりました。
なお、NHK「ふだん着の温泉」の放映日は、2006年10月22日でした。